トレジャーデータで実践:Path 分析(後編)
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前編ではパス分析の概念とパス全体に関するKPIを見てきました。
後編はさらにパスを類別して掘り下げていきます。
パス類型
さて今まで全体のコンバージョンパスを見ていましたが,ここではパスを類別して,各々の特徴を持つパスでのコンバージョン率を見ていきましょう。
1. "case-studies" スルーコンバージョン
a. コンバージョン率
"case-studies"(= 事例)は,各業界のユーザーの具体的なトレジャーデータの利用例を紹介したものですが,この事例がトリガーとなってサインアップをしてくれた同業種のユーザーはそれなりにいるはずです。そこで,"case-studies" を通って(スルーして)コンバージョンした率を見てみます。
(クエリ実行後の結果)
cv_cnt | uncv_cnt | cv_ratio |
---|---|---|
3338 | 303 | 0.916781104092282 |
仮説が正しいことが証明されました。case-studies を呼んでくれたユーザーのコンバージョン率は 90 % にも及びます。
b. コンバージョン占有率
また,case-studies スルーコンバージョンが,全体のコンパージョンパスの中でどれくらいの割合であるか(これをコンバージョン率に対してコンバージョン占有率と呼ぶことにします)を見ていきます。 先ほどまで求めていたコンバージョン率はコンバージョンと非コンバージョンの比を見たもので,占有率とは異なる概念である事を再確認してください。
(クエリ実行後の結果)
cv_cnt | total_cv_cnt |
---|---|
3338 | 5359 |
case-studies を含むコンバージョンパスの占有率は62%と大きい事がわかります。
2. "press-releases" ランディングコンバージョン
企業にとってプレスリリースは,自社ページや一般的なメディアなどに大きく掲載すべき重要なニュースです。プレスリリースを見てトレジャーデータサイトを訪れてサインアップしてくれる人が多いことがわかれば,今後掲載するメディアを増やしたり,よりいっそうの活用を考えていけることになります。
※ 今回は項目にありませんが,reffer カラムがあれば,"press-releases" リファラコンバージョンとしてパスを類別・集計することも可能です。
a. コンバージョン率
(クエリ実行後の結果)
cv_cnt | uncv_cnt | cv_ratio |
---|---|---|
144 | 0 | 1 |
この結果は非常に有意義で,press-releases からサイトに入って来た人はもれなくサインアップしてくれています!
b. コンバージョン占有率
同様にコンバージョンパス内で占有率を計算します。
(クエリ実行後の結果)
cv_cnt | total_cv_cnt |
---|---|
685 | 5124 |
press-releases ページにランディングしたコンバージョンパスは,全コンバージョンパスの 13% を占有していることがわかります。
c. コンバージョン占有率の高いランディングページの導出
b. ではランディングページを指定しましたが,各々のランディングページの占有率のランキングは,全てのランディングページを網羅的に調べることで判明します。
(クエリ実行後の結果)
landing_category | cnt |
---|---|
home | 3151 |
products | 995 |
press-releases | 685 |
case-studies | 144 |
success-stories | 109 |
tryal | 14 |
careers | 11 |
webinars | 10 |
whitepaper | 4 |
learn | 1 |
3. "success-stories" 直前コンバージョン
コンバージョンの直前のページは,コンバージョンパスの中でも最も影響度の高いノードと見なすことができ,他のものよりも重要な指標になるかもしれません。
a. コンバージョン率
非コンバージョンパスでは直前ページという概念がありませんので,コンバージョン率を求める事はできません。
b. コンバージョン占有率
(クエリ実行後の結果)
cv_cnt | total_cv_cnt |
---|---|
17 | 5124 |
success-stories ページが直前となるコンバージョンパスはそれほど多くなく,全コンバージョンパスの 0.3% を占有していることがわかります。
c. コンバージョン占有率の高い直前ページの導出
直前ページごとの占有率を全列挙してみます。
(クエリ実行後の結果)
last_category | cnt |
---|---|
home | 4416 |
press-releases | 500 |
products | 105 |
learn | 33 |
tryal | 24 |
case-studies | 21 |
success-stories | 17 |
whitepaper | 5 |
resources | 2 |
careers | 1 |
(図)home を除く直前ページでは,press-releases の寄与が圧倒的に大きい事がわかります。
4. ゴールデンパス(ランディング×スルー×直前)
先ほどまでは「1.スルー」「2.ランディング」「3.直前」ページを別個でみていましたが,ここではこれらの組み合わせでのコンバージョン回数を見てみます。
そしてその回数が多かったパスの組み合わせを「ゴールデンパス」と呼ぶことにします。
(クエリ実行後の結果)
landing_category | through_category | last_category | cv_category | cnt |
---|---|---|---|---|
home | products | home | signup | 2350 |
home | case-studies | home | signup | 1992 |
home | press-releases | home | signup | 1903 |
home | success-stories | home | signup | 688 |
press-releases | products | home | signup | 526 |
products | press-releases | home | signup | 500 |
products | case-studies | home | signup | 468 |
press-releases | case-studies | home | signup | 332 |
press-releases | success-stories | home | signup | 204 |
home | products | press-releases | signup | 199 |
(図)直前カテゴリが home であるものを除いた,コンバージョン回数の多かったパス上位(ゴールデンパス)。棒の色は「ランディング×直前」の組み合わせで区別。例えばゴールデンパス1位と3位はランディング=home, 直前=press-releases なので同色。
5. パス類型の応用
より情報量の多い Raw Data とパスの類別の柔軟な発想があれば,例えば以下の様な戦略的なコンバージョンパスの分析が可能です。
6. ゴールデンパスへの誘導,離脱ポイントの特定
ゴールデンパスが定まれば,そのパスへ誘導するようなアクションを取る事になります。下の例は,メールからのキャンペーンホームへのランディング,そしてキャンペーン詳細ページが直前ページになるようなパスがゴールデンパスであるとします。
コンバージョンパスと非コンバージョンパスをうまく用いれば,どの時点でゴールデンパスを逸脱したのかの離脱状況を測ることができます。
スコアリング
スコアリングはパスの中のどの位置のノードをコンバージョン寄与の大きいものとするか,3種類のモデルでノードを評価します。
ランディング重視モデル
ランディング重視モデルは,コンバージョンパスのランディングのノードのみにスコア1を,その他に0を与えたスコアリングモデルです。
(クエリ実行後の結果)
landing_category | cnt |
---|---|
home | 3151 |
products | 995 |
press-releases | 685 |
case-studies | 144 |
success-stories | 109 |
tryal | 14 |
careers | 11 |
webinars | 10 |
whitepaper | 4 |
learn | 1 |
ラスト重視モデル
ラスト重視モデルは,コンバージョンパスの直前のノードのみにスコア1を,その他に0を与えたスコアリングモデルです。
(クエリ実行後の結果)
last_category | cnt |
---|---|
home | 4416 |
press-releases | 500 |
products | 105 |
learn | 33 |
tryal | 24 |
case-studies | 21 |
success-stories | 17 |
whitepaper | 5 |
resources | 2 |
careers | 1 |
均等配分モデル
均等配分モデルは,全てのノードに均等なスコア(1/[パス長])を与えたスコアリングモデルです。
(クエリ実行後の結果)
through_category | cv_category | cnt |
---|---|---|
home | signup | 214.111121372604 |
products | signup | 153.15995616815 |
press-releases | signup | 105.403374196209 |
case-studies | signup | 64.7038950722661 |
success-stories | signup | 18.5270514918189 |
whitepaper | signup | 4.76484427292012 |
tryal | signup | 2.50615516555645 |
learn | signup | 2.43990898177682 |
careers | signup | 0.767050262751513 |
resources | signup | 0.758797075128664 |
webinars | signup | 0.396482314522022 |
support | signup | 0.0234799390732237 |
並列3モデル
上述の3モデルは同時に集計し,比較するのが効果的です。category | landing_cnt | last_cnt | avg_model_cnt |
---|---|---|---|
careers | 11 | 1 | 0.767050262751513 |
case-studies | 144 | 21 | 64.7038950722661 |
home | 3151 | 4416 | 214.111121372604 |
learn | 1 | 33 | 2.43990898177682 |
press-releases | 685 | 500 | 105.403374196209 |
products | 995 | 105 | 153.15995616815 |
success-stories | 109 | 17 | 18.5270514918189 |
tryal | 14 | 24 | 2.50615516555645 |
whitepaper | 4 | 5 | 4.76484427292012 |
(図)左から均等配分モデル,ランディング重視モデル,ラスト重視モデルのスコアを並べています。それぞれのモデルに特化したページを発見することができます。
終わりに
さて,ここまではパス分析のほんの入口に過ぎません。組み合わせが無限大のパスの中でどういう類別をし,どういうKPIを見ていくのかはアイデア次第になります。
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次回は,とあるスーパーという実店舗内での,ユーザーの回遊パスを分析して行く応用編に入っていきます。ご期待下さい。