「マーケティングオートメーションとは」その1
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はじめに
トレジャーデータはクラウドでデータマネージメントサービスを提供しています。
「マーケティングオートメーション」という何とも都合の良い言葉をはじめに聞いた人は,懐疑的な印象を持たれるかもしれません。私もそうでした。しかしながら,実際に社内で導入して実行してくと,マーケティングオートメーションがいかに便利で重要なものであるかを思い知らされる結果となりました。
本記事ではマーケティングオートメーションとは何か,その役割は何か,どう使っていったら良いかなど,マーケティングオートメーションについて入門から深い理解を得るところまでを, Marketo というツールを使って紹介していきます。
また,本記事はマーケティングサイドからではなく,データサイエンティストサイドからの視点で記述している事にご注意ください。
マーケティングとデータ分析の関係
まず始めに,マーケティングの役割とそのに関わるデータサイエンティストについての関係を明確にしていきます。
マーケティングの役割
マーケティングの主な役割は自社の製品やサービスに利益をもたらすためのプロモーション活動のための様々な施策を考案し,実行する事です。プロモーション活動とは,例えば以下の様な施策を指します:
- メールマーケティング
- ランディングページ分析
- キャンペーン管理
- リードジェネレーション
- 予測/スコアリング
- リード管理
- ソーシャルマーケティング
- プレスリリース管理
- マーケティング効果検証
↑ Marketo の紹介ページでは何をオートメーションしてくれるか,わかりやすく記述されています。
マーケティングとデータ分析(理想)
そしてこれらの施策の前後には必ず「データ分析」があります。マーケティングのアクションは最低限
- 過去のデータに基づいて新しい施策(仮説)を考案し,実施する
- 実施した施策の効果を検証する
という,施策の「考案」と「検証」の2点でデータを活用します。「データドリブンマーケティング」といわれているものは,データ活用を最大限にマーケティングに活かしている組織を指します。
「データドリブンマーケティング」では上図のように分析者とマーケッターがマーケットとデータを通じて密に連携し合います。
マーケティングとデータ分析(現実)
しかし現実のケースにおいては,一つのキャンペーンやイベントに多数のエッセンスが含まれてしまって,分析者はそれを数値として抽出することを困難にします。また複雑に入り組んだ要因が含まれていると,検証結果も解釈が複雑になってしまいます。
上の図は,現実で起こりがちなマーケティングの例です。このケースでは,施策の実施のためにエンジニアと分析者のリソースがかかり,かつ施策結果の取得にも分析者を悩ませるものとなっています。
マーケティングとデータ分析(打開策)
さて,現実の打開策にはマーケッターとデータ分析者が密に連携しあって施策を常にレビューする事ですが,実際にはこれを実現するのが難しいケースも多々あります:
- そもそもデータ分析する人がいない,
- 施策ごとにマーケッターが好き放題やっているために,統一性が無い
- 施策の見える化が行われていないので,上司に説明できず予算がおりない
こういった現実的な問題の打開策として「マーケティングオートメーションツールの導入」があります。本シリーズの主人公の登場です。ここからは Marketo を使って説明します。
マーケティングオートメーションは以下の特徴を持って現状の問題を打開してくれます:
- 全ての施策に同一の手法とクオリティを与える
- データ分析者やエンジニアのヘルプ無しに施策を実施できる
- データ分析者なしに施策結果の取得が可能
↑ Marketo の導入によって,まず施策実施の準備にエンジニアや分析者を必要としません。さらに,実施後の検証データの取得もMarketoの管理画面より取得が可能となっています。
全ての施策に同一の手法とクオリティを与える ⇒ 「キャンペーンアクション」という統一的概念の投入
Marketo では「キャンペーンアクション」という概念が,1つのイベントやキャンペーンに対する施策の実現と結果を見るものとして定義されます。上図ではトレジャーデータサイトより,「資料ダウンロードボタンを押す」というアクションを「キャンペーンアクション:JP Download Corporate Overview」として定義したものです。
↑ 「資料ダウンロード」をクリックしてくれた人に対してマーケティング
「キャンペーンアクション」 には次の4つの構成で成り立っています:
- スマートリスト(対象者)
- フロー(実施項目)
- スケジュール(タイミング)
- 結果(達成事項)
1. スマートリスト
まずスマートリストで,「誰(Who)」に対して施策を実施するのかを定義します。
Marketo では,右サイドバーより誰を対象とするのかを簡単に選べるようになっています。今回は「資料ダウンロードをクリックしてくれた人」という一つのフォームを与えています。
2. フロー
次にフローで「何(What)」のアクションを実施するのかを定義します。
スマートリストに対して,フローでは複数のアクションがシーケンシャルに実行されることが多いので,上図のように複数のフォームを順番に置いていきます。右サイドバーでは可能なアクションが表示されています。
3. スケジュール
スケジュールではトリガーとなるタイミングを設定します。今回は説明を省略します。
4. 結果(達成事項)
Marketo では「キャンペーンアクション」ごとに結果が自動で取得することができます。これはアクティビティログと呼ばれていますが一定期間のログを蓄積してくれるので,後ほどデータ分析者にこのアクティニティログに対して分析を実施してもらいます。
また,マーケッターは各々の「キャンペーンアクション」のページより,上記のアクティビティログをサマリしてくれた統計情報を見る事が可能です。
さて,この実施結果のサマリまで簡単に見れるとなると,各キャンペーン単位では分析者の出番はほとんどありませんね。
しかし,全キャンペーンを踏まえた上でのリードやナーチャリングに関する分析はMarketo上ではうまく見れませんので分析者のヘルプが必要になってきます。また,Marketo では「スコア」という概念でユーザーのモチベーションを定義します。このスコアリングロジックに関する分析こそ「マーケティングオートメーション」の中で最もクリティカルな部分になり,データ分析者の腕の見せ所となります。
最後に
さて,ここまではまだ「マーケティングオートメーション」をほとんど説明できていませんが,「このツールを導入することで何か良いことがありそう」という気持ちがわずかに起きてくれていれば十分です。次回以降でさらに理解を進めていきましょう。